恋する乙女の大追撃
クラス名簿は学校の掲示板にデカデカと貼り出されていた。
「なんか人少なくない?」
「そーね」
一組から順に自分達の名前を探す。
亀井…、亀井…。
「見つけた?」
「いんや。アコは~?」
「んー…、あっ、あった!アンタのも見つけたわよ」
「え?ほん__」『きゃ~~!!!』
『タケトく~ん!!』
『ユウマく~ん!!』
『レオく~ん!!』
女の黄色い声が辺りに響き渡った。
「来たみたいね__ってアヤカ!!?」
タケト…!
タケト、タケト、タケト…!!
アコの存在も忘れて無我夢中で走った。
あの秋から数ヶ月。
あたしはずっとあなたに会いたかった。
黄色い声がデカくなるにつれて人の数が増えていく。
沢山の人の中にチラリと見えた彼の端正な顔。
不意に足が止まった。
やっと…、会えた。
途端に、息を吹き返した様に周りの声が一気に耳に流れ込んできた。
彼を囲う大勢の女の子達。
これがあたしと彼の距離。