第2弾しましまパンツマン
「あんた、自分の息子より年下だよ」

「あんな、オッサンみたいな息子。目の保養になりゃしないよ」

「あんたが産んだんだろ?」

「ありゃ、亭主に似てんだよ」

カウンターの中でダイアは必死に笑いを堪えている。
声をあげて笑おうものなら、鞄か靴が飛んでくるだろうと思いつつ、堪えきれなくなり、慌てて店の外へ出る。

数分笑い落ち着いて、店の中ではまだ、不毛な会話が続いていると思うと憂鬱になった。

「はあ~」

ダイアは深く溜め息をつき、空を見上げた。

行楽日和の良い天気だ。
そよぐ風が心地よい。


耳にまだ残る「Jupiter」の調べに、ヴァイオリンを弾く青年の姿が浮かび、1首詠んだ。


――瞳(め)を閉ぢて息を殺せば
くちづけの湖(うみ)に流れる
しづかなサティ(相田邦騎)


< 26 / 91 >

この作品をシェア

pagetop