第2弾しましまパンツマン
和菓子職人は新作を試案するとき、酒も煙草も嗜好品も絶つ。

節くれだった指には爪あか1つ許されない。

練り上げる餡との摩擦で指紋は薄れていても、感覚と長年の感だけで形作る細工と、お茶を引き立てる絶妙の甘味。

どれか1つでも欠ければ、あの芸術は生まれない。

先祖代々受け継いできた伝統の技と味が、どう評価されるのか?
緊張と自信と不安を胸に其処にいた。


初めて見る生のゆるキャラが、目の前で喋っている驚きに、琴姫は黄色い生き物をマジマジと見つめる。


「お姉さん、そんなに見つめられると恥ずかしいなっしー」

琴姫はハッと我にかえる。


「お薦めの和菓子はどれなっしー。お世話になる旅館に持っていくなっしー」


ゆるキャラから仄かに香る石鹸の心地好い匂いに、アスうさぎの作る石鹸の香りだと悟る。

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