大好きな君に
『心愛ちゃんって、ドS?』

光太郎の話によると、この会話がきっかけだったらしい。


『え?』


中学2年の夏。

私と百合と涼くんと光太郎でテスト勉強をしていたとき、涼くんに聞かれたのだ。

『んーどうなんだろう?
彼氏居たことないから。』


『ふぅん?だって光太郎。』

…なんでそんなこと聞くんだろうって思ったけど、気にしないでおいた。

百合と涼くんはこの時すでに付き合っていた。

そして、中学2年の冬。

光太郎に話があると言われ、学校の中庭で待っていた。


―なんだろう、改まって。

『心愛ちゃん!待たせちゃったごめんね?』

『いや?』

『寒かったっしょ?』

『…ってか話って?』

『…ぼ、ぼ、木刀持ってる?』

『………はい?』

『い、や、その、違うくて…
ぼ、ぼ、僕と…つ、つ付き合って下さい!!』

女の子みたいに目をウルウルさせて、
すごく可愛かったのを覚えてる。

『いいよ?』

それから私達は付き合うことになった。


_______

『心愛~』

ふと昔に浸っていた私、光太郎が声をかけてくれるまで脳内は中2へとタイムスリップしていた。


『な、なに?』


『紅茶!買ってきた!!』

相変わらず、可愛い顔で笑う。

『ありがとう。』


キーンコーンカーンコーン

昼休みが終わる。

『じゃあ、僕戻るね。』
< 10 / 35 >

この作品をシェア

pagetop