大好きな君に
『……なんで。』
今日はまさかの唯一被っている講義の日だった。
今日は、せめて今日は会いたくなかった。
『おう。隣空いてるぞ。』
『あぁうん。』
どこへ行ったらいいか分からなかった私に気づいたのか、そう言った。
左半分の神経は全部夏樹に集中した。
『俺さ、アイツと別れようと思うんだよね。』
『な、なんで?』
思わず大きい声を出すところだった。
講義中なのに…。
『なんか違うなぁって思うことあってさ。比べちゃうんだよね。』
『そっ、そっか。』
誰と比べちゃうのって聞ける勇気が欲しい。
それで会話は終了したはずなのに、夏樹がこっちを見てる気がした。