Dear・・・
二人並んで近くのコンビニを目指す。


会話はない。


互いに話を切り出すタイミングを伺っている。


「…そろそろ良いでしょ?」


沈黙に耐えかねた博昭が口を開いた。


その口元は僅かににやけている。


「最近一緒に居るところ全然見ないけどどうしたのさ。何が原因?」


少し慶介の顔を伺いながら尋ねる。


慶介は言葉を捜し、ゆっくりと話始めた。


「大したコトじゃないんだよ。たださ、翔太のいないとこで翔太のコト話してて、それが嫌だってキレて話してくんないんだよ」


あながち間違っていない内容を伝える。


博昭はこれで納得してくれるだろうか。


「別に悪口とか言ってたわけじゃねぇのに…本当ガキだよな…本当…」


本音が出そうになり言葉を止めた。


博昭の反応を待った。


「なら謝ればいいじゃん」

博昭はコンビニの入り口をゆっくりと引く。


無邪気に言う博昭のアドバイスは、いつももっともな事を言ってくれる。


「だってあいつ、相手にもキレて突っかかってさ。別にあっちも悪くないのに」


どんどんと思いつめる表情の慶介に対し、博昭の目は好奇心で輝いていた。


これはゲイの痴話喧嘩なのか。


三角関係のもつれか。


博昭はおもしろくてしょうがなかった。


慶介がカゴを持ち、二人は並んで奥のドリンクコーナーへ行く。
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