Dear・・・
「翔太がキレたからって、翔太が嫌がることしたなら謝るべきでしょ」


頼まれた飲み物を探しながらも会話は続く。


「慶介さあ、昔から周りの事を考え過ぎだよ。意外とみんな深く考えてないから」


博昭の言葉が慶介に刺さる。


頼まれた飲み物をカゴにどんどんと入れていく。


しばらく沈黙になった。


博昭は冷蔵庫をじっと見つめ、何を飲もうかと迷っている。


そして、オレンジジュースを取り出し、カゴに入れる。


「慶介、何飲む?」


何も喋ろうとしない慶介に尋ねる。


「じゃあ、お茶」


博昭は言われた通りにお茶の冷蔵庫を開ける。


そして、お茶を取り出した時、あわてて声を上げた。


「やべ!翔太に飲み物聞き忘れた」


「翔太はレモンティー」


当然のように慶介が言った。


長い付き合いのため、博昭も翔太の好みは大体分かるが、慶介のあの当然と行った言い方に博昭はたまらず笑いがこみ上げてきた。


「はい、お茶と紅茶」


博昭は無表情を保つのに必死だ。


「俺的には翔太は普通に話しかけていいと思うけどな。あいつも意地っ張りだからね」


慶介に顔を見られない様、博昭は少し前を行く。


「後さぁ、相手の奴に慶介が悪いと思うなら、そっちにもそれなりに謝った方が良いんじゃない?」


博昭のささやかなアドバイスに、慶介の心は幾分楽になった。


会計を済ませスタジオへと戻っていく。
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