Dear・・・
興味のない香子は適当に相槌を打ち食べ続ける。


「あっ」


由香が声を上げた。


「どないしたん」


驚いた香子が尋ねたが、由香は何も答えず、画面に釘付けだった。


何事か、と香子がテレビを見るが先ほどと大して変わらず音のない映像が流れえている。


ただ違うのは番組中ではなくコマーシャル。


そのコマーシャルが終わると、ようやく由香が口を開いた。


「うわぁCMかっこいい」


由香の言っている意味が全く分からない。


香子は不思議そうに見つめる。


「あ。大した事違うんですよ。たださっきのCMのバンド今、あたしの一押しバンドなんですよ。かなりいいですよ」


力説する由香とは対照的に、香子は全く興味がなくお茶をすする。


「あんた、意外とミーハーやねんなあ」


「そんなんと違います。あのバンドの子みんな男前なんですよ」


「ふーん」


やはり興味を惹かれない。


芸能界に憧れる旦那を持つだけで、香子自身別に芸能には興味はない。


しかも、一回り以上違うであろう年下の子に熱を上げるほどの若さもない。


「全く興味なさげですねえ」


由香が笑う。


香子は頷く。
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