Dear・・・
「でも、香子さんとこ、小学生と中学生のお子さんいるんでしょ?好きな芸能人とかの話とかしません?」


「うーん、ああ、なんか前に夕食作ってる時、誰かのCDが欲しいやの言うてたわ。なんやったかなあ…今度デビューするってバンドで…」


「O・C・T(オクト)?」


「ああ、せや。それやそれ」


「さっきのCMの子がそれですって」


「ああ、あれが…ってあんた、小学生が好きなんが好きなんかいな。あんたの頭は小学生レベルか」


「香子さんとこの娘さんが大人びたはるだけちゃいます?」


由香はどこか嬉しそうにご飯を食べていく。


「男前を好きになるんは女の性ですって。香子さんの娘さんと熱く語れそうやわ。娘さん誰好きなんです?」


「誰やったか…優太か優人みたいな名前の子おる?」


「あぁ、優人かぁ。新しい奴選ぶとはマニアックやね。娘さんにあたしは智貴が好きやって言うといてください」


楽しそうに話す由香。


再びコマーシャルにO・C・Tが流れた。


香子は先ほどとは違い、真剣にそれを見た。


「私から見たら赤ちゃんがお遊戯してるみたいにしか見えへんわ」


やはり肌に合わない、と言いたげにつまらなさそうにお茶をすする。


娘はこういうのが好きなのかと、ぼうっとする。


そういえば、どこで買って来たのか下敷きを持っていたことを思い出す。


最近、良く手伝う様になった娘に何かご褒美でもと思いついた。
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