Dear・・・
非通知設定で掛けられていた電話番号を覚える。


「いつまで慶介の携帯見てるんだよ」


番号を記憶しているなどつゆ知らず、博昭が尋ねた。


その言葉に翔太はさっと携帯を閉じた。


「いや、別に」


と、返事をし机の上に携帯を戻した。


そして、急いで鞄から自分のを探す。


やっと見つけ出した携帯に、忘れぬうちに番号を打ち込む。


「それにしても慶介くん遅くない?」


誰も気にしていなかったことを慶介狙いの女が尋ねる。


「私見に行こうかなあ」


「そりゃダメでしょ。ウンコ邪魔しちゃ」


笑いながら礼人が言い、一口酒を飲む。


「どんだけ気張ってんだよ」


智貴がそれに便乗し笑いながら返した。


優人が、下品だと兄に注意するも他は笑う。


目に涙を浮かべて笑う者もいれば、慶介狙いの女はすぐにでも立ち上がりそうな勢い。


「やっぱり私見てくる」


そう言い女が立ち上がった。


「行かなくて良いよ」


キャッキャとする女を翔太が斬った。


その強い口調に何を勘違いしたか、少し照れ気味に椅子に座った。


「そうだ、そうだ。ウンコの邪魔をするなー」


礼人の言葉に周りはゲラゲラと笑い続けていた。


その中で、翔太だけは笑っていなかった。
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