Dear・・・
男が男にこういう気持ちを抱く事がどういうことなのか、子供の頃でも知っていた。


だが、考えない様にすればするほど浮かぶのは翔太のことばかり。


嫌でも気づいてしまった。


俺は翔太が好きなのだと。



伝えられぬ想いを抱き、涙した夜もある。


翔太にこんな感情を抱いた自分を異常だと攻め立て、死さえ頭をかすめた。


高校に入り、少し距離が出来、気持ちを落ち着けた。


きっと気のせいだと。


だが、高二のときに智貴の案でバンドを初め翔太との距離が戻った。


翔太は残酷に、俺の高校に入学した。


会う時間が増えるほど、この想いは確信へと変わっていく。


翔太を見れば、触れたくなるし、抱きしめたくなる。




そして、自分ではどうしようもない想いが溢れた慶介高三の夏、翔太へ想いを伝えた。



拒絶されれば、もう一緒にいられない事は分かっていた。


それでも、押さえ切れなかった。


頭がおかしいと、異常だと罵声をあびせられてもかまわない。


ただ、恋人ではない友人という立場にもう耐えられなかった。


何も出来ずに翔太のそばにいることの方が、拒絶されるよりもつらかった。
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