Dear・・・
言葉は簡単。


「恋愛感情として翔太が好きだ」と。


“恋愛感情”とわざわざ付けなければならないこの告白は、本当に虚しかった。


その後、しばらく沈黙が続いた。


その空気に耐えきれず涙を流した。


格好の悪いものだった。


翔太の顔をみるのも怖くただうつむいていた。


次に聞こえる言葉は何かと、耳に神経を集中させた。

笑い声であろうか。

慶介を拒絶する言葉であろうか。


恐怖で体が震えだす。


すると、知らぬまに成長した翔太の大人な指で優しく涙を拭い、ただ一言だけ告げた。


「俺も」と。


やっと顔を上げると優しく微笑む翔太の顔があった。


その瞬間の妙な感覚は今でも忘れることは出来ない。
< 13 / 214 >

この作品をシェア

pagetop