Dear・・・

朝[Osamu.side]

「おはよう」


翌朝、香子への些細な気遣いで、治はいつもよりも早起きをした。


しかし、香子からの反応はない。


しばらく返事を待ち黙っていると、香子は寝返りを打ち治の方を向いた。


「今日、会社、休みます」


それだけ言うと、再び寝返りを打ち、治に背を向けた。


「じゃあ、俺から会社に電話しとくぞ。俺、今日出かけるが…大丈夫か?」


香子からの返事はなにもない。


昨晩の出来事で当然といえば当然のことなのだが、昨夜からずっとこの調子でまともに会話すら出来ないのだ。


自分が原因という事が承知の上なので、接し方に困っていた。


後ろ髪を引かれながら、特に香子に何をするでもなく治は家を出た。


車を発進させる。


ふと、慶介の事が浮かんだ。


こっちもこっちで大変だが向こうもきっと大変であろう。


車を走らせながら、メールを作成しようとする。


が、受信ボックス、送信ボックス、アドレス帳、どこにも慶介の名前がなかった。
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