Dear・・・
「あ、博昭だ」


慶介はほっとした。


「ちょっと待ってね、電話出るから」


そういうと、慶介は電話に出た。


電車内のためなるべく小声で話す。


翔太にとってはその行動一つ一つが怪しくて仕方が無かった。


しかし、今回の電話は、会話のやり取りからして博昭に間違いなさそうだ。


しばらくして、慶介が電話を切った。


「博昭がさ、デートに遅刻だから車で送ってってさ」


呆れた笑顔で、電話の内容を報告する。


「バカじゃねえの」


口の割には顔は優しく微笑えむ翔太。


その表情は、普段の翔太の顔だった。


慶介はほっと胸を撫で下ろした。


「あいつ昔から時間にルーズだよな」


二人は見詰め合って、笑顔でため息を付く。


そして、たまらず笑い出す。


いつも通りの二人の姿。


慶介の行動に対し、少々、翔太は過敏すぎるが、他は特に問題はない。
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