Dear・・・
モノレールが到着し、二人はモノレールに乗った。


向かい合って座り、終点の江ノ島駅をただひたすら待つ。


二十分弱、会話はなく、二人は窓の外を眺め続ける。


いずれはバレてしまうかもしれない関係。


博昭なら誰にも言わず、聞いてくれるだろう。


少し見る目は変わるかもしれないが、博昭なら特に変わらずに接してくれるのだろう。


唯一の相談相手すら失った慶介は一人での決断に困っていた。


そして、博昭に助けを求めてみようと決心した。


どう転んでも、今より悪くなることはないだろうと思い。


江ノ島駅に着いても、二人はなかなか話し出そうとはしなかった。


そして改札を出て、階段を降りてしばらく、ようやく慶介が口を開いた。


「俺、今から変な事言うから」


博昭は不思議そうに慶介を見つめる。


そして、あの事が頭をよぎり期待の眼差しをむける。


「俺さ……」


博昭の反応を考えると少し怖くなる。


「……翔太と付き合ってんだよね」


博昭はついに聞けたその言葉に笑いがこみ上げてくる。


しかし、それを見せる事は出来ない。


慶介以上に真剣な顔を作る。


慶介は反応のない博昭に不安になる。


「…引くべ?」


悲しげな慶介の顔に、自分が返事をし忘れてたのを思い出した。


「引いてねぇよ、全然!ただ正直びっくりしたけど」


初めて知った風な演技をする博昭。


内心では笑っている。


「やっぱ、びっくりするよな…」


驚くなという方が無理な話だが、やはり慶介は言った事を少し後悔した。


「いや、そりゃびっくりするって!」


反応を間違えたと、焦って言葉を探す。


「だって…ほら……なんで教えてくんなかったんだよぉ」
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