Dear・・・
先ほどと変わらぬ目で、慶介を見る笑顔の博昭。


その笑顔に救われる。


それがもともと知っていたからと言うのを慶介は知らない。


「でも、何で急に俺に言おうと思ったの?」


「…なんでだろな。なんか…どうして良いか分かんなくなったから」


「慶介、病みやすいもんなぁ。で、二人はうまくいってんの?」


ゲイの痴話喧嘩が聞けると、博昭はドキドキしていた。


「まぁまぁかな…」


博昭は慶介の言い方からそんな訳がないのはすぐに気づいた。


もっとも、元々から気づいていたのもあるが。


心配してる様子を作る。


「本当に?何か元気ないよ」


「まぁ、それなりに色々と…」


慶介は懸命に言葉を探す。


「翔太との事、相談してた人がいたんだよ」


博昭は以前の話を思い出した。


「その人と連絡取るの辞めなかったら、翔太がさ…」


「翔太はそれ嫌だっつったんでしょ?」


慶介は静かに頷く。


「何で辞めなかったの?」


博昭に痛い所を付かれ、慶介は返事に困る。


しばらく返す言葉を捜す。


メールをやめなかった理由。


やめる理由はいくらでも見つかる。


しかし、やめなかった理由はいざ言葉にしようとしてもうまく出てこない。
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