Dear・・・
二人の間に会話はなくなった。


慶介は黙ったまま遠くを見つめる。


博昭も遠くを見つめる。


今の状態で色々と聞き出すのは無理だ。


まして変な事を言ってしまえばこれから先何も聞く事が出来なくなってしまう。


しばらく歩き、博昭がその沈黙を破った。


「あのさ!俺が相談に乗るよ!その相談相手が誰か知らねえけど俺以上に二人を知ってるやつなんていないし!な?」


笑顔の博昭に圧倒された慶介は目を見開いて驚く。


「しんみりすんなって!絶対解決できるって!俺も考えるから!」


博昭の笑顔に釣られて慶介も笑顔になる。


そしてまもなく、家に着いた。


「絶対何かあったら相談しろよ」


家に入る直前、博昭が言った。


「ああ、ありがとう」


慶介は素直に礼を言う。


博昭はそれに微笑む。


翔太には無いその無邪気さが、慶介には新鮮だった。


博昭はこれからどの様な話が聞けるのか、楽しみでしょうがなかった。
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