Dear・・・
まもなく大船に着いた。


改札を出たところに博昭が立っていた。


「お待たせ」


翔太が静かに近づく。


「別に待ってねえよ。話って何?どっか店入る?」


久々の翔太と二人きりになり、博昭は妙な緊張を感じていた。


何を言われるのだろうか。


もしかして、最近慶介と仲が良いということでケチをつけられるのだろうか。


内容に期待しつつも、動揺し言葉がしどろもどろになる。


「いや、いいや。帰りながら話せる事だし」


そう言い二人はモノレールを目指して歩きだした。


しばらくの間、特に会話ない。


モノレール前で煙草に火を付ける。


そして翔太が沈黙を破った。


「なあ、慶介の婆ちゃんが入院したって知ってた?」


突然の話に博昭は驚いた表情を浮かべる。


慶介の話ではないのだろうか、と不思議そうに翔太を見る。


「一応、家隣だからなあ。そりゃまあ。何で?」


家が隣なら当然かも知れないが、やはり悔しい。


翔太の顔が少し曇った。


「俺、知らなかったし。最近お前ら仲良いし」


「え?俺ソッチっ気ねえって」


翔太の言葉に焦って言う。

その言葉に博昭が、自分と慶介の関係を知っている事に気づいた。


「俺と慶介の事…慶介が言った?」


博昭はしまったと顔をし、気まずそうに頷いた。
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