Dear・・・

朝[Kyoko.side]

通院し始め一週間。


香子は久々に会社に行く決心をした。


スーツに着替え、一階へ降りていく。


朝食を食べていた治、和也、綾の三人はスーツ姿の香子に驚いた。


そして、綾が嬉しそうに言う。


「お母さん風邪治ったん?」


事情を知らない綾は母が風邪で寝込んでいると信じていた。


その言葉に香子が複雑そうな笑顔で答える。


母の笑顔に和也も笑顔になった。


嬉しそうな和也と綾に心配を掛けた事を詫び、優しく頭を撫でる。


もう一人、香子を見つめる人物がいるが、香子は決してその姿を視界に入れようとしない。


「なあ、お母さんコーヒー飲む?お兄ちゃんに教えてもろて、綾、コーヒー入れれるようになってん」


「じゃあ、お願いしようかな」


優しく微笑み言うと、綾は嬉しそうにキッチンへと向かった。


香子は、綾の姿を見届けると和也の隣に座る。
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