Dear・・・

朝[Syota.side]

翌朝、翔太は迷う事無く慶介を迎えに行った。


腹が立つくらいに晴れ渡った夏の空。


明日のライブには期待が持てそうだ。


慶介と共に駅へ向かっている。


当然のように、二人の間に会話はない。


静まり返った二人の間。


翔太が静かに言った。


「忘れよう」


ただそれだけ。


しかし、慶介にはその一言が何よりも重く感じた。


慶介は返す言葉が無かった。


再び会話はなくなった。


集合場所に着いたが、二人の状況は変わらない。


しばらくして優人に教えに来た博昭は、何も知らずいつも通り二人に挨拶をする。


そのいつも通りの笑顔が翔太には憎くて仕方が無かった。


「あれ、博昭テンション高くない?」


智貴が言う。


「だってさあ、昨日彼女ん家泊まっちゃったし」


その言葉に慶介の顔が引きつった。


翔太はその顔に胸を痛める。


尚も話続ける博昭。


そして、その言葉一言に一言に反応する慶介。
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