Dear・・・
翔太は耐え切れずにその場を離れた。


外の空気を吸い、どうにか心を落ち着かせようとする。


今はすべてが憎くて仕方が無い。


晴れ渡った空、輝く太陽、合い間に吹く爽やかな風。


すべてのものをぶち壊したくて仕方が無い。


秩序などなくなれば、自分たちは何も異質ではないのに。


なぜ、自分は男に産まれたのだろう。


なぜ、慶介が女ではなかったのだろう。


なぜ、同性がイケないのだろう。


一体どこで間違えてしまったのだろうか…


憎むべきものは多々あるが、どうしても慶介を憎む事は出来なかった。


悔しいほどに翔太はまだ、慶介のことが愛おしくて仕方がなかった。
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