Dear・・・
第七章・破滅

休日[Kyoko.side]

『私は今横浜はランドマークに来ています。今夜ここで、今、注目ナンバーワンバンド、O・C・Tを初めとした若手人気歌手の方々がチャリティーコンサートを開催されるんです。』


テレビから聞こえる興奮しがちな女子アナの声がリビングに響く。


『チケットは当日販売で、それはすべて募金と言う形になるそうなんですが…見てくださいこの人!チケット発売開始は十二時からなんですが、もうこんなに集まってきています!では、最前列の方にインタビューしてみたいと思います』


土曜の朝。


朝食作りで、香子は台所に立ち、テレビを見ていた。

見ていると言うよりは付けているといった感じで、香子は特にテレビに目をやることは無かった。


階段から降りてくる音がする。


身軽な足音から綾であろう。


「おはよう」


姿を確認して、香子は言った。


「あ、O・C・Tや!O・C・T出てるんやったら起こしてよ!綾が好きなん知ってるやろ?」


綾は母の言葉など耳に入らず、真っ先にテレビへと向かっていった。


その後姿からは不機嫌さが伝わってくる。


全く何を言っているのか香子は理解が出来なかった。
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