Ｄｅａｒ・・・
「お前こんなにちょくちょく顔出すなら辞めなきゃよかったのに」


智貴が近くのお茶を飲みながら言う。


「芸能人より、芸能人の友達ってのが格好良いじゃん？」


「意味分かんねえよ」


博昭の言葉にすかさず突っ込む礼人。


幾分、張り詰めた空気がほぐれた。




「Ｏ・Ｃ・Ｔさんまもなくです。スタンバイお願いします」


スタッフの呼ぶ声にさすがに智貴と礼人も静かになった。


智貴に続いて、礼人、その後ろに優人が続き上手へ向かう。


その３人に続いて慶介が行こうとした瞬間、博昭が呼び止めた。


「慶介、大丈夫？胃薬飲んだ？」


慶介を気遣い、笑顔で言う博昭。


まだその笑顔に落ち着く自分に、慶介は悔しくて仕方がなかった。


「ああ、さっき飯食った時飲んだよ」


慶介は精一杯の笑顔を作って答えた。


そして、上手へ向かった。


その慶介の行動一つ一つを翔太は見つめていた。


ステージ袖へ向かう五人の背中は、まるでこれから死刑台に上るような切実な覚悟を背負っているように見える。
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表紙・目次

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