Dear・・・
尚も睨みつける和也に、治はおずおずとソファへ戻って行った。


「なあ、ゲームやめて、俺の部屋行けへん?新しい漫画があるんやけど」


友人たちに視線を戻し、満面の笑みで言う和也。


友人の父親の異様な行動に戸惑いつつも、少年たちはすぐに立ち上がった。


四人はちらりと治を見るが、何も言わずそのままリビングを後にした。


「階段上がって左の一番奥が俺の部屋やし、先行ってて。俺、お菓子持ってくわ」


一人にお盆を預け、和也は再びリビングへと戻っていった。


白々しくソファの上で身を縮め、狸寝入りをしている治。


その父の姿に和也は憎しみをこめた舌打ちをし、キッチンへと向かっていった。
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