Dear・・・

夜[Kyoko.side]

香子は風呂から上がりビール片手に、リビングにいる治の元へと行った。


「お風呂、お先でした」


「ああ」


そう言い、すれ違うように治は風呂場へ向かった。


香子はソファーに座る。


と、お尻に何かを感じた。


手探りで探すと、それは治の携帯。


不意にあの日の事が走馬灯のように蘇り、体が強張る。


最近、治に慶介の影はない。


怖い反面、香子はその中身を見ないではいられなかった。




ゆっくりと開き、まずは送信ボックスを開く。


どこにも慶介の名前はない。


そして、受信ボックス。


ここにも慶介の名前はない。


どんどんとスクロールし、見ていく。


と、ほっとしたのもつかの間、慶介の文字が目に飛び込んできた。



眩暈が香子を襲う。


しかし、後戻りは出来ない。


意を決しメールを開いた。


そして、さらに香子は衝撃を受けた。
< 185 / 214 >

この作品をシェア

pagetop