Dear・・・
会いたいです。


寂しいです。


男同士なのに、とそこに並んべられた言葉は香子の理解を超えている。


何をするでもなくただ、その文を見ていた。


しばらくして治が風呂から上ってきた。


瞬間、香子の手の中のものに気づいた。


「おい!」


急いで取り上げるが遅かった。


香子の顔は引きつっている。


消しそびれたメールがあった事に治は動揺を隠しきれない。


すっと立ち上がった香子に治の体が少しびくつく。


「違うんだ!メールは向こうから勝手に!」


治が何か騒いでいる。


「おやすみなさい」


香子は聞く耳持たず二階へと上っていった。


ベッドに横になり目を閉じる。


しかし、さきほどの文字は頭から消えない。


香子は再び、激しい頭痛に襲われた。
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