Dear・・・
「お父さんから、何か連絡があったのか?」


「いえ、別に」


食器を重ね、キッチンに運ぶ。


そして、エプロンを外し鞄を持つ。


「それじゃあ、行ってきます」


香子はさっさと、家を出て行った。


それに続いて、和也と綾も友達の家に行くため家を出た。


治は家に一人になる。



香子自身から実家に帰りたいなど聞いたことのなかった治は、やはり昨日の事が原因かと妙に勘ぐるが、今はそれ所ではなかった。




久々の一人。



心置きなくパソコンが出来る状態に心躍っていた。


急いでパソコンを立ち上げる。


そして、調べるのはただ一つ。


O・C・T


何時間もただ、慶介について調べていた。


夕方、綾が帰ってきた。


お茶を飲みに一階に下りてきていた治は綾と鉢合わせになる。


「おかえり」


「ただいま」


元気に言い、父に続いてお茶を飲んだ。


と、何の脈絡もなく治が綾に尋ねた。


「おい、綾はO・C・Tってバンド知ってるか?」


「O・C・T?綾、めっちゃ好き!この前お母さんが雑誌買ってきてくれてん!」


「お母さんも知ってるのか?」


「うん!」


好きなメンバー。


好きな曲。


ファンの間の噂など楽しそうに話し続ける綾。


治はその話を真剣に聞く。


「でも何で?」


当然の様に、不思議になった綾は父に尋ねた。


「いや…別に」


素っ気無く堪えると、治は二階へと上っていった。











件名:調べたぞ!
本文:慶君のグループの事を調べたぞ!
すごいな慶君は!
そんな人とメールができるなんて嬉しいぞ!
妻と子どもも知っていた!
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