Dear・・・

山下公園[Keisuke.side]

どれほどの時が流れたのであろうか。


澄み切った青を見せていた空は、既に薔薇色の夕日に染まり、太陽との再開を約束に別れを告げ始めていた。


慶介の足元には煙草の吸殻がたまっていた。


慶介は携帯を取り出し時間を確認する。


時計は六時を表示し、その横にはメールの受信を知らせるアイコンが表示されていた。


練習スタジオはここからは三十分もかからないため、まだわずかに時間に余裕がある。


少し冷えてきた体に、早めに行こうかと考えていると、後ろから慶介を呼ぶ声が聞こえた。


優しく耳に響くその声は、良く聞きなれたものだ。


慶介の心が弾む。


ゆっくりと振り返った。
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