Dear・・・
慶介はなんとか状況を飲み込み、心臓を落ち着かせ、あえて悪びれる風もなく淡々と話し始めた。


「はい、そうですけど。何か用ですか?」


「何の用かって?もう、うちの旦那とメールしないでいただけますか?」


白々しい慶介の態度に腹が立つも、相手のすました冷静さに負けじと、香子もどうにか冷静を装った。


「何であなたにそんな事言われなくちゃいけないんですか?これは治さんと俺の問題です」


それでも尚、淡々と話続ける慶介に、香子は我慢しきれず怒鳴りつける。


「主人とあんたの事だって?私、体調崩したんよ。あなたが電話掛けてきたときから会社行けんくなって、精神病院にも通ったんよ」


「それは悪いと思います。でも…俺、芸能界って業界にいて、こういう悩み持ってて、相談できる人いなくて…」


「それは分かるけど…でもうちの旦那じゃなくてもいいでしょ?」


「治さんみたいに親身になってくれる人はいません」


「でも、私は現に体調崩してて…だから本当にメールだけはやめて欲しいんよ」


「奥さんが体調崩したのは悪いと思います。でも、俺にも事情があるんです。彼氏の事とか…」


「彼氏?あなた男の子ですよね?」


「……そうですけど何か?」


香子のその問いかけに、慶介は動揺を隠せない。
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