Ｄｅａｒ・・・

駐車場[Keisuke.side]

「ごめん…」


慶介が弱々しく小さな声で言った。


しかし、翔太からの返答を得る事は出来なかった。


再び沈黙が訪れる。


「ねえ、翔――」


「何に対して謝ってんの？」


思い切って喋りだそうとした慶介の言葉もむなしく、翔太の言葉にかき消された。


「オッサンとメールした事？博昭を好きになった事？……俺を信じなかった事？」


「違――」


「何が違うんだよ！」


慶介に喋らす隙を一切与えない。


「男同士だから世間じゃ認められないし、ましてや結婚なんて出来ないじゃん。慶介がいつかどっかいっちゃうんじゃないかって…」

翔太は言葉を詰まらせた。


「……ある日突然、誰か俺の知らない女と結婚しちゃうんじゃないかって不安で…とか思ったら誰か知らないオッサンとメールしだすし」


幼く泣き出しそうな翔太の顔、言葉一つ一つに慶介は胸を痛める。


「俺、嫌だっていったじゃん…やめたと思ったら次は博昭とばっかいるし。俺は慶介が誰を好きであろうとかまわないと、思ったよ。俺が変わらず慶介を想ってればいいって。博昭の事好きになったんじゃないかなって思った時からもう、俺の事はどうでも良くなったのかなって思ってさ。で、距離置こうっていったら、泣いて嫌だって言ってくるし、俺、期待しちゃうじゃん。で、これだしさ。なんか…もう…疲れたよ」