Dear・・・
前を行く慶介の背中は、とても寂しそうに見えた。


きっと何か嫌な事でもあったのだろうと、翔太は慶介の代わりに満面の笑みを作り、今日あったことなどを話し始めた。


慶介はそれに相槌を打ち、たまに笑顔を浮かべる。


どうにか笑顔になって欲しいという想いに、車に乗り込んでからも翔太の話は止まらない。


運転のため慶介は翔太を見る事はないが、助手席から翔太の視線を感じる。




無邪気に笑う翔太の瞳に、自分はどう映っているのだろうか。


愛おしい恋人として映っているのだろうか。


もしかしたら、男に恋をした哀れな親友として映っているのではないだろうか。


涙を流し同性に告白した惨めな男に、情けをかけているのではないだろうか。





その視線が怖く、慶介は信号待ちの間も翔太を見ることが出来ないでいた。
< 22 / 214 >

この作品をシェア

pagetop