Dear・・・
二人は車から降り、トランクから楽器を取り出し、一つを翔太へ手渡した。


そして、特に言葉を交わすことなく二人はスタジオへと向かっていった。



翔太は再び慶介の背中を見つめて歩いて行った。


そして、前を行く慶介がスタジオの重い扉を開けた。

わずかに開いた扉の向こうからギターの音が聞こえて来る。


スタジオの奥のソファで寝そべりながら、礼人が適当に楽器を鳴らしていた。


礼人はヘッドフォンを着け曲を聴いているらしく、慶介たちにはまだ気づいていない。


「おはよ」


慶介が近づき大きな声で呼びかけると、やっと気づき、ゆっくりと振り返りヘッドフォンを外した。


「ああ、お前ら早いな。暇人」


「いや、礼人に言われたくないから。いつからいるの?」


慶介は床にギターをケースから取り出しながら、礼人と話をする。


翔太は少し離れた椅子に座り、ベースを取り出しチューニングを始めた。


ときたま礼人と話をする慶介を見つめ、ため息をつき、また音を鳴らすを繰り返した。
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