Dear・・・
十六年前、四十歳の中年男性と十八歳の少女は恋に落ち、永遠の愛を誓い合った。


とは言え、過去の話。


子供を二人授かったものの家庭の空気は冷え切っていた。


肉体関係は、二人目の子供を産んで以来、十年近くない。


様々な不満から香子の苛立ちは日々つのっていく。


それも、愛故か。


しかし、それを横目に治は平然としている。


それも仕方のないこと。


治は少年愛者なのだから。



治は十代の時、香子の父の元へ弟子入りをした。


その時、同じく弟子入りしていた同年代の男性と出会った。


そして、その男性とは深く愛し合った。


誰にも言うことなく、二人は何年も愛を育んでいたが、その男性が弟子を辞めたことから、自然とその恋は終わった。


それからも治は複数の男性を愛したが、いまだにあの彼を忘れることが出来ずにいた。


あの頃の若い彼を想い、いまだに治の体は若い男を求めていた。


だが、年齢が上がっていくにつれ、若い男が治の相手をしてくれなくなった。


その時出会ったのが十八歳の香子だった。
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