Dear・・・

帰路[Keisuke.side]

練習が終わり、五人は眠たそうにスタジオから出てきた。


口々からは、様子を見に来た藤田の愚痴しか出てこない。


藤田は五人をスカウトしたレコード会社の男。


ルックスの良さと曲から慶介たちバンドに金の匂いがした。


スタジオまで借り、事前投資をしている。


しかし、五人のメジャーとインディーズの違いの分かってなさに来る度に叱るはめになっていた。


そのため五人からの嫌われ者だ。




「たまには好きな曲弾いたって良いじゃんな」


つまらなさそうに礼人が言った。


「本当に毎回飽きないよな、あのおっさん」


智貴は舌打ちをしてスタジオを振り返る。


すると調度良く建物から藤田が出てきた。


藤田の雰囲気から智貴に話があるようだ。


他は智貴に別れを告げて、さっさと車へと乗り込んで行った。
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