Dear・・・
慶介は前方を気にしつつも、翔太の方を見る。


頭を撫でていた手を頬へ落とし優しく撫でる。


そして、名残惜しそうにその手を離した。


手に残る翔太の温もり。


自分の頬に当て確かめる。


まるで翔太の手のような、そんな気持ちに酔いしれる。


だが、徐々に自分の手へと戻って行く手。


慶介は切なさと悲しさからすぐに頬から手を離した。


急に何の温もりも感じられなくなった体は、悲しみに押しつぶされそうだ。



翔太はどれだけ俺を好きなの?


翔太は本当に俺が好きなの?




溢れ出しそうな涙を堪え、ただ遠くを見つめた。


だが、どこを見ようとも翔太の心が見つかるわけがなかった。




静かに車を走らせ一時間弱。


翔太の家に着いた。


気持ちよさそうに眠る翔太は、いつもの少し澄ました顔とは違い、昔のまま、翔太を好きだと気付いたあのころのままの幼い顔をしていた。


触れたくなる気持ちを抑え、慶介は優しく翔太を呼んだ。


「着いたよ」


翔太は目覚めきっていないたどたどしい手つきでシートベルトを外す。


そして、そっとドアを開けた。
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