Dear・・・
冷たい空気に翔太は身震いする。
その冷たさのおかげで目は覚めた。
「トランク開けて」
慶介に頼むと翔太は車を降りて行った。
誰もいなくなった助手席のシートは思いのほか寂しく、慶介は激しい孤独に襲われた。
シートの暗闇に飲み込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
息苦しさの中、体が強張る。
と、窓を叩かれた。
そちらを見ると笑顔で手を振る翔太の姿があった。
慶介は急いで窓を開けようとする。
ゆっくりと開く窓がまどろっこしい。
まだ開ききらない窓から手を伸ばし翔太の服を掴み、自分の元へと引き寄せたい。
そして、その勢いに任せたままキスをしたい。
自分の欲望のままに。
だがそんな事が出来るはずなく、慶介はゆっくりと開くのを待った。
行き場のない手は今にも翔太へと向かいたがっている。
それに気付いてか翔太が微笑みながら問いかけた。
「どうしたの?なんか俺の顔についてる?」
「…あぁ。ほら」
そう言うと慶介はやっと開いた窓からそっと手を伸ばした。
その手は、翔太の頬をかすめ髪に触れあるはずのないゴミを取った。
「ありがと」
翔太は慶介に微笑む。
「じゃあ、家着いたらメールしてね」
手を振り翔太は家の方へ向かった。
発進した車の音に振り返り、翔太は慶介を見送る。
先ほど慶介に触れられた髪を触り、慶介の温もりを探す。
今すぐ自分の元へ戻ってくる様に祈ってみる。
だが、そんな想いが届くはずなく、車は見えなくなった。
零れそうな涙をこらえ、翔太は家へと入って行った。
その冷たさのおかげで目は覚めた。
「トランク開けて」
慶介に頼むと翔太は車を降りて行った。
誰もいなくなった助手席のシートは思いのほか寂しく、慶介は激しい孤独に襲われた。
シートの暗闇に飲み込まれてしまいそうな錯覚に陥る。
息苦しさの中、体が強張る。
と、窓を叩かれた。
そちらを見ると笑顔で手を振る翔太の姿があった。
慶介は急いで窓を開けようとする。
ゆっくりと開く窓がまどろっこしい。
まだ開ききらない窓から手を伸ばし翔太の服を掴み、自分の元へと引き寄せたい。
そして、その勢いに任せたままキスをしたい。
自分の欲望のままに。
だがそんな事が出来るはずなく、慶介はゆっくりと開くのを待った。
行き場のない手は今にも翔太へと向かいたがっている。
それに気付いてか翔太が微笑みながら問いかけた。
「どうしたの?なんか俺の顔についてる?」
「…あぁ。ほら」
そう言うと慶介はやっと開いた窓からそっと手を伸ばした。
その手は、翔太の頬をかすめ髪に触れあるはずのないゴミを取った。
「ありがと」
翔太は慶介に微笑む。
「じゃあ、家着いたらメールしてね」
手を振り翔太は家の方へ向かった。
発進した車の音に振り返り、翔太は慶介を見送る。
先ほど慶介に触れられた髪を触り、慶介の温もりを探す。
今すぐ自分の元へ戻ってくる様に祈ってみる。
だが、そんな想いが届くはずなく、車は見えなくなった。
零れそうな涙をこらえ、翔太は家へと入って行った。