Dear・・・

翔太の場合

俺は一人っ子だった。


でも、寂しいなんて思った事は一度もない。


同い年の博昭とは生まれた時から一緒で、家族も同然だった。


三歳の時に来た慶介は俺の兄貴になった。


三人でいる事が当たり前だった。


暇があれば慶介の家に遊びに行った。


夏になれば海で遊び、冬になれば部屋でゲームをした。


優しく気弱で、いざという時は正義感の強い慶介は俺の中でどんどんと大きな存在になった。


たまに、博昭とは違う、家族とも友達とも違う感情で慶介を見る事があった。


だが、俺にはこの気持ちが何かは分からなかった。


ただ、俺は慶介とずっと一緒にいたいと思ってた。


お父さんに中学校受験を勧められたが、慶介のいる中学に行きたくて地元の中学校に行った。


でも、それも一年で終わり、慶介は高校に上がった。


ここからは電車で行く横浜の高校。


その距離が悲しかった。


少しの間でも慶介に会いたくて家に行った。


俺は慶介の高校に行こうと決めて、勉強した。


そんな時、慶介にバンドを誘われた。


また慶介といる時間が増えると、俺は嬉しかった。


智貴と礼人の技術力の高さの足を引っ張らないよう、必死で練習した。


大変だったが、慶介がいたから頑張れた。


普段からの勉強のかいがあり、慶介の高校には推薦で行けた。


また一年、慶介と同じ学校に通える。


博昭は違う高校に行き、俺が慶介を独占出来た。


バンドの事がない日はいつも慶介と二人で帰った。


たまにうちでご飯を食べて帰ったりした。


ご飯の後は俺の部屋でぐだぐだしてた。


その時告げられた。


俺を好きだと。
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