Dear・・・
正直どうして良いか分からなかった。


慶介がこんな冗談を言うはずがないし、慶介の涙から本気さが伝わった。


その真剣さに俺はどう返すべきか。


俺の気持ちからして、好きという言葉を返すのは簡単だった。


だが、そんな軽く返して良いものなのか。


そしてもし、断れば俺はかまわなくても慶介は俺からいなくなるだろう。


俺は卑怯に一言告げた。


俺も、と。


慶介は先ほどとは一変し、清々しい笑顔で俺を見た。


その笑顔に、俺も笑顔になった。


秘密に進む俺らの関係は幸せだった。


人気のない道で手を繋ぎ、キスをする。


デビューの話が来た時、これからも慶介と一緒にいれるのだと嬉しかった。


博昭の脱退は予想外だったが、何より慶介がいる事実だけで俺は満足だ。


慶介への気持ちは確かなものへとなって行った。


慶介との出会いは俺の人生で大きなものだ。


人を想う大切さを知った。


確かに、俺らの関係は危ういものだが、俺は互いがいれば良い。


だが、この気持ちがちゃんとしたものなのかまだ自信はない。


だから、慶介の真剣な想いに応えるためまだ言わない。


でも、いつかは告げたい。


世界で一番、慶介が好きだと。
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