Dear・・・

休日[Keisuke.side]

晴れ渡った空、澄んだ空気。


やっと暖かくなりだした日差しが部屋の窓から差し込む。


授業がなく、練習もない久々の休みに、慶介の一日の始まりは午後からとなった。


休みとはいえ、平日。


今日も授業のある翔太に、自分が暇だからといって会いたいと我侭を言えるわけがない。


だからといって、わざわざ友人を誘って遊ぶほどの気力もない。


慶介は本当に何も用事がなかった。


ゆっくりと布団の中で伸びをし、枕もとの携帯を確認する。


そして、布団の中で丸くなりながらメールの返信を打つ。


実際、慶介自身、彼に対し引き気味ではあった。


下心丸出しの文面。


性的欲求の高い中年男性。


だが、たとえどんなに異様な存在であっても、その異質さが今の慶介には大切なささえとなっていた。


自分たちのこの関係に異常さを感じさせない存在。


誰からも理解されないと思っていた関係を、後押しさえしてくれる。


今、慶介は一種異様な感性を持つ彼の中にのみ肯定的な自分を見出せていた。


メールを打ち終えた慶介はゆっくりと起き上がりベッドサイドに腰掛、しばらくの間、遠くを見つめていた。


部屋の片隅の鏡にはやつれた慶介の姿が映し出されている。


「慶ちゃんそろそろ起きたらどうだい?ご飯あるよ」


一階から祖母の呼ぶ声が聞こえた。


適当に返事をし、寝ていた格好そのまま下へと向かう。


階段途中の窓から、潮の香りと共に楽しそうな子供たちの笑い声が聞こえる。


今あの頃に戻れたならば、翔太を愛を通さず、友という目で見れるようにやり直せるのであろうか。


慶介は一度、窓の外に広がる青空を見つめ、そして再び階段を降りた。
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