Dear・・・
大学は推薦で上がった。


有名私立大学。


慶介とは違う大学。


理系の学部は男女一緒とはいえ、女の人数はやはり少ない。


そのため合コンの話は絶えずやってくる。


その中にはメジャーデビューをしようとしている翔太を、お飾りでつれて行きたいと誘う連中も少なくない。


翔太は毎回断るのが憂鬱で仕方なかった。


誰に言うことが出来なくとも、自分には一応恋人がいるのだから。


誘ってくる方も、よく飽きずに毎日のように合コンが出来るものだ。


そういうやつらの理由は大体決まっている。


どうしてそんなにセックスをしたがるのであろうか。


好きでもない相手として気持ちが良いものなのか。


したことのない自分が言うのもなんだと、言ったことはないが、翔太は常に思っていた。


だが一方でセックスに対し、興味を持っているのも確かであった。


二人が繋がる感覚とはどういうものなのであろうか。


一つになれたと充実感に満たされるのだろうか。


翔太は最近、慶介との距離が日に日に広がっているように感じていた。


しかし一方で、ひっそりと交わす口付けにちゃんと愛を感じてもいる。


もしかしたら、自分たちの関係に何か迷いを感じているのではないだろうか。


たとえ二人の間に愛があろうとも、過ちだったと後悔しているのではないだろうか。


ただひとついえる確かな事は、二人の繋がりが日々薄れていっていることだ。


そこで、セックスは離れつつある慶介の心を繋ぎとめる一つの手段にはなるのであろうか。


まだ、迷いのある自分の気持ちに言葉ではなく、体で応えるのは得策なのだろうか。


たとえ女の話題が持ち上がろうとも、翔太の心は慶介の事でいっぱいだった。
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