Dear・・・
「酔っ払ってんじゃん。」


と、博昭は笑いながら智貴を指す。


その言葉をそのまま博昭に返してやりたいが、智貴はそれを飲み込み、苦笑いをする。


すると博昭は遠くに光るコンビニを見つけ、急に走り出した。


あんなにも足取り不確かな博昭の言葉をどうして一瞬でも信じてしまったのだろうか。


本人が忘れているのに、考え込んでいた自分がばかばかしく思えてきた。


いくら仲が良いとは言え、付き合っているなど男同士でなどそうそうある話ではない。


親しいだけでいちいち疑っていたらきりがないではないか。


さっきのは、博昭にはめられたのだろう。


もっともらしい二人をあげられたせいで、まんまと騙された。


智貴は一通りの冗談を忘れる事にした。


「馬鹿。危ねぇから走んな」


智貴は一人危なっかしく走る博昭に駆け寄った。
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