Dear・・・

地元[Keisuke.side]

「お客さん、もうすぐ駅だけどここからどうする?」


タクシーの運転手が湘南モノレールの片瀬山駅を指差す。


「あ。ここで良いです」


翔太が答える。


「家まで行ってもらえば良いじゃん」


「酔いさますために歩きたいから良いの」」


慶介の言葉に答え、翔太がタクシー代金を払う。


慶介は先にタクシーから降りた。


まもなく翔太の家だ。


翔太の家には今まで何度となく行ったが、今日ほど緊張したことはない。


冷たい風が僅かに慶介を冷静にさせる。


「モノレール、終電早くて困るよね」


翔太がタクシーから降りてきた。


しかし、慶介は遠くを見つめるだけで返事をしない。


翔太が心配そうに慶介の顔を覗き込んだ。


「慶介、もしかして体調悪い?」


「え?何で?」


「全然喋らないし、顔引きつってるし」


「そんなことないって。翔太の家行くのすげえ楽しみだしさ。久しぶりじゃん、泊まるの。何年ぶりだろな」


緊張を気づかれたくない慶介は、あれやこれやと喋りだした。


その姿に翔太は微笑む。


しばらく歩き、翔太の家に着いた。
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