Dear・・・
四月中旬の肌寒さに身震いしながら、二人は煙草に火を付けた。


「慶介これからどうするの?」


煙を吐きながら智貴が尋ねた。


「授業ないし、練習まで時間あるから適当にドライブでもするつもり」


慶介もまた煙を吐きながら答えた。


「暇なら一緒に授業出ようよ」

「遠慮しときます」


煙草を捨て、足で火を消した。


「じゃ、遅刻するなよ」


智貴はまだ何か言いたそうにしていたが、慶介はさっさと別れを告げた。


学生駐車場へと向かっていく。



腹の立つほどの青空が、慶介を不快にさせる。


自分はこんなにも心がもやもやとしているのに、空は清々しいほどに晴れている。





車に乗り込んだ慶介は大音量の曲を流し、すぐに車を発進させた。


何か余計な事を今だけは考えたくないと、頭の中を曲で埋める。


だが、できるはずもなく、過ぎて行く景色にいるはずのない翔太を探し、女々しい自分を笑ってみる。


そしてしばらく車を走らせた慶介は、山下公園に車を止めた。
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