臆病者の逃走劇.




ああ、


……言っちゃった。


顔が燃えそうに熱い。

顔だけじゃない。

全身が、熱くて焼けそう。


手が震えてる……


言いたかったことを言えたはずなのに、どうしてか心の中は喪失感のようなものでいっぱいだった。

心臓がバクバクしすぎて全身が鼓動しているみたいだ。



「………っ」

「………」

「……、…?」



あ、れ。

返事がなにも、返って、こない。


それまでずっと伏せていた目を、勇気を振り絞って動かす。

そう…っと、本当におそるおそるあげた目線は、傷ついたような表情を浮かべた東条くんの目とぶつかって、



「っ!」



どきりとした。


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