臆病者の逃走劇.
4
翌朝。
まだ引きずっているであろう皆の反応と、何が起こるのかが怖くて、本当に学校に行きたくないと思った。
こんなに学校に行きたくないのは初めてだった。
そんな私が、あまりに悲壮感に溢れた表情をしていたのか、お母さんには「あんた大丈夫?酷い顔よ」と心配されたほど。
本音を言えば、ほんっとうに行きたくない。
けれど、ここで休んでも何も変わらないし、むしろもっと行きにくくなってしまうのも目に見えている。
頑張って行くしかないのである…。
(…なんでこんなことになっちゃってんだろ)
平穏に穏やかに毎日を送るはずだったのに。
たまに見かけて、ときめくだけで満足だったのに。
学校に着くと、周りがこちらを見ている気がして、思わず警戒した。
あとあの人現れたらどうしようって。
ああ、せめて時間ずらせば良かった。
なんで何も考えずに出て来てしまったんだろう。
東条くんいつもこれくらいの時間に登校してきてるよね。
ああもう。
「ほんと困る…」
「山本さん」
「っぎゃあ!」