臆病者の逃走劇.



「紗菜ちゃん美緒ちゃん、おはよー」

「おはよー」

「おっはよー」



教室に入ると、通り過ぎざまに挨拶をしてくれる友達に挨拶を返しながら、席に着く。

まだ初めの、出席番号順の座席のままだから、私とは遠くの席にある美緒ちゃんは、自分の席に荷物を置いてから私の席にやってくる。

そうして他愛もない話をしながら、一限目の授業が始まるまでの時間を、二人で過ごす。


特に派手に恋愛やオシャレを楽しむわけでもなく、遊び回るわけでもなく。


無難に勉強をして、遊んで、「平凡」そのままの生活を送る私たちの、日常。

二年生になっても、変わらずこんな日常が続くんだと思ってた。





思ってたのに。




< 5 / 26 >

この作品をシェア

pagetop