不埒な恋慕ごと。
第3章
*****
それから夏休みが明けると、周りはすっかり受験モードだったにも関わらず、今月下旬の体育大会の準備を進めていくことになった。
今年で最後になるのもあり、クラスの皆は勉強を頑張りながらも、すっかりやる気だ。
そんな中、わたしはひっそりと気を落とす。
黒板に並べられた競技の名前を見ながら大きなため息をつくと、隣の席の孝輔が突然くす、と笑みを零した。
「……去年の小日向、面白かったよなぁ。」
孝輔の呟きに、脳裏に去年の失態が蘇る。
わたしは去年、個人種目の中では1番楽な縄跳び競争に出場した。
緊張しながらも、震える脚でスタートラインに立つ。
息を呑んで、ピストルの音を耳に、走り出した時だ。
足を進めながら縄を前に回すと、手に巻きすぎて短くなった縄に足を引っ掛け、バランスを崩し、わたしは顔から地面に崩れ落ちた。
一瞬の静寂の後、くすくすとした笑い声がわたしの耳に飛び込んできて、痛みと恥ずかしさに泣きそうになっていると、
――『頑張れ、小日向!!』
……孝輔の声が、聞こえたんだっけ。
思えばそれからだった、孝輔とよく話すようになったのは。
……今、そのことで馬鹿にされたけど。
それから夏休みが明けると、周りはすっかり受験モードだったにも関わらず、今月下旬の体育大会の準備を進めていくことになった。
今年で最後になるのもあり、クラスの皆は勉強を頑張りながらも、すっかりやる気だ。
そんな中、わたしはひっそりと気を落とす。
黒板に並べられた競技の名前を見ながら大きなため息をつくと、隣の席の孝輔が突然くす、と笑みを零した。
「……去年の小日向、面白かったよなぁ。」
孝輔の呟きに、脳裏に去年の失態が蘇る。
わたしは去年、個人種目の中では1番楽な縄跳び競争に出場した。
緊張しながらも、震える脚でスタートラインに立つ。
息を呑んで、ピストルの音を耳に、走り出した時だ。
足を進めながら縄を前に回すと、手に巻きすぎて短くなった縄に足を引っ掛け、バランスを崩し、わたしは顔から地面に崩れ落ちた。
一瞬の静寂の後、くすくすとした笑い声がわたしの耳に飛び込んできて、痛みと恥ずかしさに泣きそうになっていると、
――『頑張れ、小日向!!』
……孝輔の声が、聞こえたんだっけ。
思えばそれからだった、孝輔とよく話すようになったのは。
……今、そのことで馬鹿にされたけど。