不埒な恋慕ごと。
 その日の帰りしな、偶然菜々に会って、2人並び、他愛もない話をしながら帰路につく。


そこで、菜々のクラスでも今日決めたらしい、体育祭の個人種目の話が出てきた。


「あっそうだ、あたしね、リレーのアンカー走るんだよ。 」


菜々はとても嬉しそうに話すけれど、そんなの、運動オンチのわたしには恐ろしい話だ。


「お姉ちゃん、何出るの?」

「……縄跳び競争。」


学校で、わたしの失態を覚えている子達から、汚名返上をしろ、と強引に参加させられたことを思い出し、言いながらわたしは苦い顔を浮かべる。


「顔から地面に突っ込んだやつね!」


菜々もしっかりとわたしの失態を覚えていたらしく、思い出し笑いをしていた。


……よく思うけれど、わたしたち双子は容姿以外は全くの正反対だ。


性格も、能力も。


菜々は料理が苦手だけれど、わたしは得意。

菜々は勉強が苦手だけれど、わたしは得意。


そして、


わたしは運動が苦手だけれど、菜々は得意。


わたしはものをはっきりと言うのが苦手だけれど、菜々は得意。


不思議なくらいに、中身の似ていない双子だと、前から度々思うことがあった。
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