君のことが好きだから
最近になって気づく。
菜桜の雰囲気が少し変わった。
相変わらず綺麗なんだけど、ガサツなとこが無くなって女の子らしくなった。
めんどくさいと言ってしなかったメイクもして、前にお揃いで買った香水もつけていた。
もしかしてって、思って尋ねる。
「菜桜は好きな人とかいるの?」
菜桜は頬を赤く染めて頷く。
「うち、圭一が好きなの。」
頭を鈍い鈍器で叩かれたような感覚がした。
「いつから好きなの?」
気づいたら聞いていた。
もしかしたらって思って。
「夏休みくらいから…かな。」
にこやかに話す菜桜。
きっと私が圭一くんを好きなことは知らない。
「あのさ…「それでね。」」
かぶせるようになった声。
「先週から、付き合うことになった。」
菜桜の真っ直ぐな瞳は私を捕らえて逃さない。
「そ、うなんだ。…おめでとう!」
私は笑えているかな?
「…うん。ありがと。」
俯く菜桜を見て話す。
「ごめん。ちょっとトイレいってくるね」
返事は待たずにトイレに入る。
個室の中に入ると今まで我慢してた思いが溢れるように涙が流れる。