君のことが好きだから
「…うっ、うぅー。」
泣き声だけがトイレに響く。
菜桜は私より後に好きになったのに。
私の方が圭一くんを好きなのに。
それに、菜桜は気づいていたんだ。
私が圭一くんを好きなこと。
だって、あの目が言っていた。
(うちの彼氏に手を出すな。)
って。
そう思うと涙は止まらない。
菜桜に裏切られたというような思いと、行き場のない苛立ちと悲しみ。
私はチャイムが鳴っても泣き続け、しばらくして保健室へ向かった。